ボルトカッターで泣く泣く壊した自転車の鍵
息子の新しい自転車を購入した。お店に行って、「どれがいい?」と聞くと、迷わずその店で一番高い自転車を選んだ。「こっちの方がいいんじゃないの?その自転車だとキズが目立つし、こっちだったら飽きないと思うけどなー」と夫と一緒になって必死に誘導したにも関わらず、息子はその一番高い自転車にまたがったまま動こうとはしない。結局根負けしたのは私達だった。
購入したばかりの頃は息子も大事に乗っていたのだが、やはり乗り慣れてくると扱いが雑になってくる。私が何度となく「ガシャーンて置かないの!(高いんだから!)」とか「乱暴に扱うんじゃない!(高いんだから!)」と叱ってみるものの、息子は一向に態度を改めようとしない。そこで私はペナルティを与えることにした。しばらくの間、自転車の鍵を没収することにしたのである。どこに行くにもその愛車と共にしていた息子はかなり反抗したけれど、これも物を大事に扱うというしつけの一環である。1ヶ月の期間、息子は自転車なしの生活を余儀なくされた。不便な生活を強いられ、きっと反省したであろう。約束の一か月を過ぎ、私は自転車禁止令を解禁した。
ところが一か月ぶりに自転車に乗ろうとした息子が、憮然とした表情で言った。「鍵、入らないんだけど」「え?」「だから自転車の鍵が入らないんだってば!これじゃ乗れないよ!」そんなバカな。だけど自転車に鍵を挿そうと試みるも、本当に鍵は入らない。夫が力ずくで入れようとするものの、ビクともしない。一か月の間に、錆びてしまったのだろうか?ゴミでも入って詰まってしまったのだろうか?夫が自転車屋に持って見てもらうと、鍵を入れる部分がどういうわけか歪んでいるので、鍵を交換しなくてはならないという。結局ボルトカッターで泣く泣く壊してもらい、新しい鍵代を出費する羽目になってしまった。
息子へのペナルティが、結局は親へのペナルティになってしまったのだった。